『想い出せないもの』

物語を書かなくちゃ

物語を書かなくちゃ

ハリネズミが空を見上げながら呟きました。

苺のような、りんごのような、そんな感じの色した何かをずっと想い出せなくて。

遠くの青い色を探しました。

月から見る地球と同じくらい綺麗な青いもの。

ねえ、どうしてそんなにさびしそうなの??

隣にいたトリウサギが聞いてきました。

近くで遊んでいても、知らない場所にいるかのような

この世界なのに、でも違う世界が広がってるかのような

そんな気持ちを、いつのまにか忘れてしまっていて

そんな気持ちがあったってことを、ふとした時に思い出すことができて

きっと夢のアーチをくぐったら、忘れてしまうんだけど

ねえ、トリウサギっていつも何の音を聞いてる?

たとえば、今自分が呼吸してる音は聞けてる?

ねえ、今目の前にあるもの、ちゃんと見れてる?

たとえば、となりにいる人の気持ちがどんな色をしてるかとか、考えたことある?

ブルベリージャムを食パンの上に塗ったら美味しいけど、たとえばあんぱんの上に塗っても美味しいのかな?

もしブルベリージャムが、ショートケーキの上に乗ってても美味しいと思えるかな?

ハリネズミの言葉は、生まれてはすぐ景色に溶けていって、

トリウサギは、そんな景色を時計の音を聞きながら眺めています。

物語を書かなくちゃ

ハリネズミがため息のように呟きます。

目の前のものに、違う形が見えていた頃

明日や明後日や一年後なんて、考えていたのかな?

ずっと先のことをいつも考えていたから、今のことが見れなくなったのかな?

自分が風になって、ここじゃない世界を飛び回れてたように、今でもなれるのかな?

ずっと忘れていた何か

くるくる空を回って

風のない穏やかないつかに

きらきらした太陽の光と一緒に

降りてくるといいな


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