『虹色ずきんちゃん』

昔あるところに、白ずきんちゃんがいました。

白ずきんちゃんは、自分のずきんが真っ白な雪が降ってるような色で、とても気に入っていました。


でも、本当は心の中でどこか寂しさを感じてました。

それは色がたくさんある世界で、自分だけが少し仲間はずれのようで。


ある朝、起きたら少しだけ外の世界の音が違ってるような気がしました。

いつもと何が違うんだろう。。。

確かめたくて、外に出てみました。


小鳥が挨拶してくれたので、鳥語で聞いてみました。


チュンチュン チュンチュン

チュンチュンチュチュン


そうなんだね。

少しだけヒントをもらえた気がして、お礼を言って、そのまま歩き続けました。


少し歩いていくと木陰で休んでいる子猫のにゃあに会いました。

にゃあは、鳴き声のような名前なので、少し紛らわしいのです。

その上、みんながにゃあの名前を呼べば、にゃあは「にゃあ」って答えてくるので、ますます紛らわしいのです。

にゃあに猫語で聞いてみることにしました。


にゃあ、にゃあにゃあにゃあにゃあ にゃあにゃあにゃあ?


そしたら、にゃあは答えてくれました。


にゃあにゃあにゃあにゃあ、にゃあにゃあにゃあにゃあにゃあ!


そうなんだね。

ほんの少しヒントをもらえた気がしました。


時々、木の音色が聞こえてきます。

でも、そんな木の音色も今日はいつもと少し違うような気がして。

森の奥深くへと歩いて行くことにしました。


この先は、湖があります。

湖のほとりに、少しだけダイエットに成功したねずみ捕りのお仕事をしてる、ぶたのきりんちゃんがいます。

ぶたのきりんちゃんは、いつもねずみを追っかけてばかりいるので、ぶたネコってあだ名で呼ばれてます。


ねえねえ、ふだネコさん。


あっ、間違えた、ぶたネコさん。


今日はいつもと何か違うような気がしない??

少しだけ世界の音が違うような気がするの。


ぶたのきりんちゃんは、言いました。


真っ白なずきんをかぶってると気づかないかもしれないけど、本当はヒントがあちらこちらに隠されてるんだよ。

いつも目に見えることや聞こえてくるとは限らないし、いつも本に書いてあるってこともない。

それに誰かに聞けば分かるってものでもないんだよ。


でも、そういうのはきっと時間が経てば、全て解決してくれたりもするものなんだ。


もう少し待ってみれば、分かるかもしれないし、分からないかもしれないし、もしかしたら半分だけ分かるかもしれないし、いやいや3分の1だけかもしれない。

それはきっと時間が経ってみないとわからないんだ。


そっか。ありがとう!ぶたネコさん。

もう少しだけ待ってみようかな。


そしたら、いつのまにか空が曇ってきて、ぽつぽつと雨が降ってきて、いつのまにかざあざあ降りになってしまいました。


あーあ、せっかくの真っ白な白ずきんが、この雨に濡れて汚れちゃうや。


白ずきんちゃんは、木陰で雨宿りしながら思いました。


少しずつ雨がやんできました。


そしたら、小さい花たちが歌を歌い始めます。

土の中からもぐらも出てきて一緒に歌い始めます。

口をもぐもぐばかりしてるもぐらも、この時ばかりは大きな口を開けて歌います。

いつのまにかみんなで合唱が始まります。

きっと新しい空を出迎えてあげてるのでしょう。

わたしも一緒に歌おうって思って、歌い始めました。


そしたら、花たちやもぐらや木々やぶたのきりんちゃんや子猫のにゃあや小鳥たちやみんなの歌声が混ざり合って、この世界を包む新しい空に向かって大きな虹色の橋がかかりました。


とっても大きくて、そしてとっても美味しそうな匂いのする大きな大きな虹色の橋です。

みんなは、その匂いにつられて、ぱくぱくと虹色の橋を食べ始めます。

白ずきんちゃんも味見してみたくて、ぱくっと一口だけ食べました。


うわぁって心の中で叫びました。


それは今までに食べたどの飴よりも甘くて、美味しい味でした。

こんなに幸せなことってあるのかしら

こっそりと思いました。


でも、みんながすさまじい勢いで虹色の橋を食べるので、ぱりんって音を立てて虹色の橋が割れて壊れてしまいました。


そしたらきらきらって光りながら、水の粒になって、空からみんなのもとに降ってきました。

どのくらいの時間か分からないけど、通り雨よりも少し短いくらいの時間、虹色のきらきらの雨が降ってました。


雨がやんだら、あれってもぐらが言いました。


他のみんなも、あれって気づきました。


でも、白ずきんちゃんだけ、気づきませんでした。


どうしたの?って尋ねてみました。


もぐらはもぐもぐしてて、何喋ってるか分かんないし、

ぶたのきりんちゃんは時間が経てば分かるしか教えてくれないし、

にゃあは、にゃあしか言わないし、

でも優しい小鳥さんが鳥語で教えてくれました。


そうだったの!?

白ずきんちゃんは、、ようやく分かりました。全てのことが。


白ずきんちゃんは、実はもう白ずきんちゃんではなくなってました。


虹色のきらきらの橋が割れてできた雨に濡れて、白ずきんが、虹色ずきんになったのです。


そっかぁ。


みんなの歌声でできた橋が割れて降った雨に濡れて、虹色に変わって。


みんなの色に染まったから、もう寂しくないやって思いました。


虹色ずきんに変わったので、これからはみんなは白ずきんちゃんじゃなくて、虹色ずきんちゃんって呼ばなきゃいけなくなりました。


慣れるまで、時間がかかるでしょう。


でもきっと時間が解決してくれるはずです。


でも、にゃあだけは相変わらずにゃあって呼んできます。


いつまでも変わらないこともあるのです。


そういうのも素敵だなって。


そう思いました。

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